2013年10月1日火曜日

POVの最終到達点!『クロニクル』





『クロニクル』(字幕)

原題:CHRONICLE
2012/アメリカ/89分
監督:ジョシュ・トランク
製作:ジョン・デイヴィス、アダム・シュローダー
脚本:マックス・ランディス
出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリー 他

ストーリー:ある日謎の物体に触れた高校生のアンドリュー、マット、スティーブは超能力を身につけ、その模様をカメラに記録していく。超能力をイタズラに使用する日々が続くが、ある事故をきっかけにその生活は一変していく。



POVの最終到達点と言っても過言じゃない傑作

最終到達点ってどこが?って話なんだけど、大きく二つの問題をクリアしてるとこにあって。
まず一つが『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド』や『REC』など、数々の名作が生まれていく中で、どうしても腑に落ちないのが、なぜどんな危機的状況でも撮影しているのか?とういところ。撮影云々の前にカメラをずっと持ち続けてるのがね。もう一つが必ずアングルが固定されてしまうところ。撮影者が鏡越しにしか映らなかったり、落としたらもう動かないなど、かなり制限される。
今作はその二つの見事にクリアしているんですよ。超能力で手持ちカメラを浮かせることでアングルやカットの自由度も上がっているし、手持ちカメラだけじゃなく街中にある監視カメラ、野次馬が撮ってる携帯のカメラなどありとあらゆるカメラに切り替わるので演出の幅もグッと広がっているんですね〜。
だから今作でしか観れない映像、例えば雲の上でキャッチボールしたり、塔の上で語らってるところを俯瞰したりこれだけでも必見。


さらにメインキャスト三人の雰囲気が最高で、凄く微笑ましいんですよ。特にデイン・デハーンが物凄く良い。高校生三人が超能力(主にサイコキネシス)を持ったらどうするか?スカートめくりからイタズラ、空を飛んで世界旅行など。ここら辺の行動心理に無理がなく、少しづつ不穏な展開に向かうのは1秒足りとも退屈させない。
ちょっと違うが『マン・オブ・スティール』が消化不良だった人はコッチがオススメかも。自分の居場所を求めて足掻く高校生が超能力を得たことで生まれる新たな友情や希望や葛藤を通してある種のヒーロー誕生譚としても楽しめる。


監督も公言しているように『AKIRA』や『キャリー』などに影響を受けているらしく、それはアンドリューが病気の母を救うために出る行動から顕著に表れてくる。特殊能力を手に入れてしまった者の末路としてしっかり描けていると思う。その先には、それまで観てきたメインキャスト三人の心地よい演技アンサンブルがあってこその物悲しいカタルシスが待ってるんですよ。僕もああなったら友人の希望は叶えてやりたいです。


首都圏内二週間限定公開という非常に勿体ない興行だが、ぜひ今観に行って欲しい。よく別料金で¥1000ジャストだし。

そして既に発売しているUK版Blu-rayには、なんと日本語字幕と日本語吹替(!)が収録されてるってんだから文句のつけようがない!http://www.fantasium.com/detail.phtml?ID=SCI89889 …




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